安全運転管理者制度

安全運転管理者制度とは

 多くの事業所は、自動車を運行することで利益を得ていますが、万一、交通事故を起こすと、社会に多大な損害を与えることになります。

 そこで、道路交通法では、一定台数以上の自動車を使用する事業所に対して、自動車の安全運転に関わる必要な業務を行わせるために、安全運転管理者と副安全運転管理者を選任することを義務付けています。

 その中心となる内容は次のとおりです。

 

 ①安全運転管理者等を選任して公安委員会に届け出る

 ②安全運転管理業務を推進するために必要な権限を与える

 ③公安委員会が実施する法定講習を受講させる

 ④安全運転管理者は法に定められた基本業務を行う

安全運転管理者の業務

◎交通安全教育指針に基づく交通安全教育を推進する

◎「9つの基本業務」を実施する

 

 ①運転者の適性等の把握

  運転者の適性・技能・知識や道路交通法をはじめとする法令遵守の状況を把握するため、必要な措置を講じる。

 

 ②運行計画の作成

  最高速度違反、過積載、過労運転、放置車両の防止などに十分気を配り、運行計画を作成すること。

 

 ③交替運転者の配置

  長距離又は夜間運転となる場合、過労等により安全な運転ができないおそれがあるときは、交替するための運転者を配置すること。

 

 ④異常気象時等の措置

  異常な気象、天災等により、安全な運転の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、安全確保に必要な指示や措置を講じること。

 

 ⑤点呼等による安全運転の確保

  運転者に対し点呼等を行い、日常点検整備の実施や正常な運転ができることを確認し、安全な運転に必要な指示を与えること。

 

⑥酒気帯びの有無の確認(新業務)

  運転前後の運転者が酒気を帯びていないかを、目視等とアルコール検知器を用いて確認を行うこと。

 

⑦酒気帯びの有無の記録(新業務)

  業務⑥で確認した内容を記録して1年間保存し、アルコール検知器を常時有効に保持すること。

 

 ⑧運転日誌の備付けと記録

  運転状況を把握するため、必要な事項を記録する日誌を備付け、運転を終了した運転者に記録させること。

 

 ⑨安全運転指導

  自動車の運転に関する技能、知識その他安全な運転を確保するために必要な事項について指導を行うこと。

 

 ※ 補足(⑥・⑦「酒気帯びの有無の確認」について)

  道路交通法施行規則の改正により、2022年4月1日から「運転前後の運転者に対して目視等で酒気帯びについての確認」、「その内容の記録の保存(1年間)」が加えられました。
  また、2022年10月1日(予定)からは、「アルコール検知器を用いて確認すること」、「アルコール検知器を常時有効に保持すること」が加えられることになっていましたが、最近のアルコール検知器の供給状況等を踏まえ、道路交通法施行規則の改正により、当分の間、適用しないこととなりました。